潮の味
私は、月に一度、インスタント食品解禁デーを設けている。
スタンガン的な化学調味料を体に入れることで、これまで会社で蓄積したストレスを一気にリセットするのだ。
”作られた味”は、アナザワールドへの扉。
金曜の21時。最寄りの駅に降り立ち、招かれるが如く、いつものスーパーに吸い込まれていった。
(さて、今日は何を食べようかな・・)
いつも思うが、狭すぎる立地のため、両サイドのラーメン棚が私を押しつぶそうとしている。
(ラーメンに人間が負けるかッ)
世界最後の日、AIに抗う(あらがう)ラスト人間みたいなセリフをこだませ、カップラーメンが陳列されたラインナップをスキャンする。
・・ピピピ。 ひと月前とはガラッと変わったエリアがヒットした。
『ゴ主人様、ペヤングの亜種ガ確認サレマシタ。』
うむ。
私は、【ペヤングやきそば あさりの旨み広がるボンゴレ風 Vongole 熱湯3分】を手にした。
マリトォッツォに並ぶイタリアからの刺客。
サイゼリアが置きたくても置けなかった、イタリアンやきそば。
「君にこれを作るために、生まれてきたよ」
暖簾(のれん)から覗くパンツェッタジローラモ。
(本編関係ないけど、日本語変換がめっちゃくちゃ難しい。。)
(できあがり)
ルンルン気分で帰り道を進む。
帰宅し、キッチンに直行。チチチチチ。一日眠っていたコンロを目覚めさせる。
日本文化の結晶。インスタント食品やきそば部門。全国大会常連校「ペヤング」
お馴染みの作り方で、3分が経過し、それは私の前に現れた。。
黄金色に輝く、ちょっと硬めに仕上げた、ペヤング・ボンゴレ風や・き・そ・ば♪
入れ物の白さが、シチリア島の白壁を彷彿(ほうふつ)とさせる。
白いヨットが浮かぶ地中海を真下に、私はペヤングを片手に立っている。
(更に!!)
牡蠣も買ってしまいました。
なんと、一週間マラソンのラスト2キロといった時間帯。私の美食に対するシナプスがスパークしたのだ!
スーパーでペヤングを手に取った瞬間、
「ねぇ、そこの貴方。牡蠣を乗せるとうまそうじゃなぁい?」
と肩を叩かれた(気がした)。
振り返ると鮮魚コーナー。
鎮座する、牡蠣パック。
(確かに、ペヤングのアサリはウォーリーを探せ級の分からなさ。)
こんなポテッとした貝が、ペヤングに、、ゴクッ
スーパーの籠の中で、ペヤングと牡蠣パックが恥ずかしそうに挨拶をした。
(乗っけました。)
やはり、課金の力は絶大である。
オプション一つで ”映え度(ばえど)” に、スタンダードと水が開く。
(更に、)
それっぽいアイテムも載せると、弁当感が増した。
デコり始めて止まらなくなり、原形がなくなったスマホを見てきたが、その気持ちが少し分かる気がする。
さて、、
まずは、本来の部分から食するとしよう。
私モ食ベタイデス。私モ、プチッ
AIを静かにさせた後、ゆっくりと食す。
一口ほおばると、濃厚な塩味が全身に浸透してくる。。
圧倒的な塩・塩・潮!!
地中海の潮風が、吹き上げる!!
私の白シャツの谷間に挟んでいたサングラスを巻き上げ、スカイブルーの空へ走り抜けていった・・
もう一口!!
はぁん♡
もっと!!
「ジローラモだよ」
うるさい!
食べる、飲む(ビールも買いました。)食べる飲む!
あ!ボンゴレみーつけた♡
はむはぅ
わずか三口ほどで、私のドーパミンはすっからかんになってしまった。。
こんな調子で、追いオイスターとは、自傷行為だなと思いつつ、、
プリっぷりの牡蠣を口に入れた。
はうぁ!!
くさい!!
なぜ!?
ちゃんと塩で洗ったのに?
もう一口、海底の味がする。
確かに、地中海にも海底はあるだろうけれど、味わう機会に恵まれるとは・・。。
ギネス級の潜水速度で暗闇に達した私は、海底に座り込み、
残ったイタリアをビールで流しこみ、海苔で巻いて一気に食べきった。
残しては日本男児の名に恥じる。
ふぅ
一人SDGsで、廃棄食品ゼロを達成し、なぜ海底に潜ってしまったのかを考えた。
色々な料理サイトをみるが、やはり塩洗いばかりヒットする。
中には、その後に、牛乳に数時間漬けるという裏技も披露されていた。
牛乳か。。
調べる中で、水球の様にぽてっと膨らんだ一品が目に飛び込んできた。
膨らみがあり、しごく愛らしいのだ。
いかがだろうか。
片栗粉をまぶすと、中の水分が逃げていかないらしい。
奥が深いぜ。オイスター
海に顔を出して、次回のオイスター祭りをイメージ!
最後に、映える画像でお口直しします♪
うまそー